不労所得を得ると税金の支払いが必要?課税の条件と確定申告が必要なケースを解説

Published On: 2023年12月19日Categories: 初心者向け
不労所得を得ると税金の支払いが必要?課税の条件と確定申告が必要なケースを解説

資産運用・不労所得が以前に比べて一般に浸透してきた昨今ですが、始めることに不安を抱く方も中にはいらっしゃいます。

こうした方が不安を抱く大きな理由に、「納税・確定申告のルールが分からないので、脱税などの法律違反を犯してしまうかもしれない」「納税義務が発生した時に、手続きが面倒そう」といったものがあります。

実際のところ、不労所得を得た時に発生する税金はいくらで、どのように納付する必要があるのでしょうか?

今回は、不労所得を得た時の課税ルールと、納付の方法を解説していきます。

課税対象になる所得

不動産収入や配当株などの不労所得は、給与と同じように税金がかかります。

不労所得にかかる税金の仕組みや納付のルールを事前にしておかないと滞納などのリスクにつながるため、注意が必要です。

所得には給与所得以外にも、次のように様々な種類があります。

  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 雑所得
  • 配当所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得

税制上は「不労所得」というものはなく、得た所得は上記のいずれかに該当するケースがほとんどです。

ここからは、それぞれの所得の内容を紹介します。

不動産所得

不動産所得とは、アパート経営などで得られる家賃収入など、不動産や不動産に関連する権利の貸付で得られる所得のことです。

不動産所得を他の所得と総合して課税条件を満たしている場合、所得税と住民税が課されます。

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不動産所得と混同しがちなのが山林所得で、山林の伐採・譲渡や立木のまま譲渡することで得た所得は、不動産所得とは別の区分になります。

不動産の貸付で得た所得の分類

事業所得

事業所得とは、その名の通り事業を営むことで得た所得を指します。

所得が「事業所得」に該当するのは、以下のような7種の事業です。

  • 農業
  • 漁業
  • 製造業
  • 卸売業
  • 小売業
  • サービス業
  • その他事業

不動産の貸付は不動産所得に区分されますが、以下のようなケースは事業所得として申告する必要があります。

  • 車や自転車の保管・管理責任を伴う駐車場・駐輪場の経営で得た所得
  • 食事提供つきの賃貸物件の提供(下宿等)で得た所得
  • 旅館・ホテルや格納可能な簡易施設(出店など)で得た所得
  • 社宅など、従業員に貸し出して得た賃料など

雑所得

雑所得は、ブログアフィリエイトの収入や原稿料など、副業レベルの活動で得た収益が主に当てはまります。

ただ、上記のような事業でも、一定以上の規模になると事業所得に区分されるようになります。

配当所得

配当所得は、投資信託や株式投資で得た配当や剰余金などを指します。

申告する際は総合課税申告分離課税かを選べますが、申告分離課税を選択すると配当控除を受けることが出来なくなります。

譲渡所得

譲渡所得はその名の通り資産の譲渡によって生じる所得で、以下のような資産の譲渡が当てはまります。

  • 土地・建物
  • 株式や権利
  • ゴルフの会員権など

不動産を売却した時は、得た譲渡所得は他の所得と分離して、所得税・住民税を課税します。

一時所得

一事所得とは、競馬や競艇などの公営競技で得られた賞金や宝くじが対象になっている税金です。

その他だと、生命保険などの満期で受け取る一時金等も、一時所得に分類されます。

不労所得を得た際に確定申告をしなければならないケース

不労所得を得たら、必ず確定申告が必要という訳ではありません。

不労所得を得た際に確定申告・税金の納付が必要な条件を解説します。

年間20万円を超えたとき

確定申告の基準

会社に所属して給与所得を受け取っている会社員の場合、給与所得と退職所得以外の収入の合計が年間20万円を超えるのであれば確定申告が必要です。

ただし、純粋な収入が年間20万円を超えたとしても、経費を引いて20万円未満となる場合は確定申告の必要はありません。

例えば、副業収入の合計が22万円だとしても、申告時に計上できる経費が3万円あれば確定申告は必要ありません。

特定の条件に当てはまるとき

不労所得の収入が年間20万円以下の場合でも、次の条件に当てはまる人は確定申告が必要です。

  • 給与所得が2,000万円を超えている
  • 給与を2か所以上からもらっている
  • 医療費控除・住宅ローン控除を受けたい

医療費控除は、家族全員分の医療費の合計が年間で10万円を超えた場合に受けられる控除です。

住宅ローン控除は住宅ローンを借入している場合に、原則10年間の所得税控除が受けられます。

不労所得でかかる税金を減らす方法

法人化する

法人化するメリット

副業を事業として法人化する事で、収益にかかる税率を下げることができるケースがあります。

個人事業主として活動する場合に比べて、課税所得金額が900万円を超えるのであれば法人化すると税率が低くなります。

具体的には個人事業主として課税所得金額が900万円に達すると税率は43%、法人化していれば23.2%となります。

副業収入が大きくなってきた場合には、法人化する方が節税できます。

また法人化することで経費に計上できることも増えるため、副業収入が多い人やこれから成長させていきたい人は法人化がおすすめです。

青色申告を行う

青色申告の確定申告書類

青色申告とは、事前に届け出をしたうえで確定申告を行う制度です。

青色申告をおこなうことで、所得金額から最大65万円の控除が受けられます。

一般的な確定申告(白色申告)はこうした控除を受けられないのに加えて、赤字を損失繰越することができないのが難点です。

青色申告をする場合は、事前に税務署へ承認申請書を提出する必要があります。

税理士に相談する

税理士に相談することで、初心者では知り得にくい経費計上や節税のポイントをアドバイスしてくれます。

依頼時に費用がかかるのが難点ではありますが、ミスのない確定申告をおこなう上でも、一定以上の予算がある方は税理士に依頼するのがおすすめです。

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課税・納税の仕組みを事前に把握しておこう

不労所得で発生する税金には、様々な種類があります。

それぞれの所得によって経費計上できるかなどの違いがあるので、自分が得た収入がどの所得になるか確認しておきましょう。

また年間の副業所得が20万円を超える場合は原則確定申告が必要になるので、必ず対応しましょう。