不動産投資物件の売り時を見極める方法!6つのタイミングと売却の流れ
不動産投資の中で物件を売却するかどうか、悩むことはないでしょうか。
経年劣化により、建物や設備の修繕に多額の費用がかかるのであれば、現状のまま売却することを選択する場合もあるでしょう。
そこで今回は、不動産投資物件を売るタイミングや不動産投資物件を売る流れ、売却するタイミングを見極める時の注意点などについて解説します。
2023年は不動産投資物件の売り時?
不動産投資物件を売却する時期は、今かどうか迷う方もいるでしょう。
近年、不動産価格は上昇傾向にあります。
国土交通省「 不動産価格指数」によると、マンションの価格は2012年ごろから上昇を続けています。
戸建て住宅は、横ばいが続いてますが、2020年(令和2年)ごろから上昇傾向となっているのが特徴です。
引用元:不動産価格指数(令和5年12月・令和5年第四半期分)
不動産投資物件は、購入時より高くなっている場合は売り時といえるでしょう。
最適の不動産投資物件を売るタイミング
ここでは、最適の不動産投資物件を売るタイミングについて解説します。
タイミング①大規模修繕を行う前
マンションでは、経年劣化に伴い、大規模修繕が行われます。一般的には12年周期で建物や設備の状況に応じて実施します。
大規模修繕には、一戸あたり100万円程度の工事費用がかかるため、日常発生する修繕と比べ高額です。
区分マンションでは、月々の修繕積立金を管理組合に支払います。その積立てた費用を大規模修繕に充てます。
修繕積立金の積立方式には、均等積立方式と段階増額積立方式があります。
均等積立方式は、計画期間中、均等に積み立てる方式です。
段階増額積立方式は、最初は金額を低く設定し、段階的に増額を行う方式です。区分マンションでは、ほとんどが「段階増額積立方式」を採用しています。
このように大規模修繕の費用が発生する前に売却するのも1つの方法でしょう。
タイミング②築20年が経過する前
築20年経つ前の物件は、外装や内装、住宅設備の劣化が見られる時期です。
しかし、築20年以降の物件は資産価値の下落が緩やかになり、ほぼ横ばいとなるケースも多くあります。
そのため、資産価値の下落リスクが低く、不動産投資家にとってはお求めやすい物件と判断する場合もあるのです。
タイミング③入居者が退去する前
区分マンションでは、入居者が住まれている場合は「オーナーチェンジ」として取り扱われます。
オーナーチェンジ物件は、入居者が住んでいるまま、物件の売買により、オーナーのみが変わるしくみです。
購入時から家賃収入が発生するので、不動産投資家からの需要は高くなっています。
特に満室の場合であれば、買い手がつきやすくなるでしょう。入居者募集の手間がかからず、費用を抑えられるのもメリットです。
タイミング④路線価が上昇傾向にある時期
路線価とは、毎年1月1日時点の土地の評価額を算出する際に用いられる基準価格です。毎年7月1日に国税庁が発表します。
路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」があります。
相続税路線価は、土地の相続税評価額を算出するために用いる土地単価のことです。
固定資産税路線価は、土地の固定資産税評価額を算出するために用いる土地単価のことで、公示価格の80%程度が目安です。
路線価が上昇している場合は、不動産を売却するタイミングといえるでしょう。
タイミング⑤減価償却の終了時期
不動産は、経年劣化により資産価値が減少しますが、減価償却費として経費に計上できます。
減価償却期間は、木造22年、軽量鉄骨造27年、重量鉄骨造34年、鉄筋コンクリートは47年です。
減価償却が終了すると経費が少なくなるため、税金(所得税・住民税)が増えてしまいます。
したがって、減価償却が終了するまでに売却するのも一つの方法です。
タイミング⑥引っ越しシーズン
引越しシーズンは、賃貸物件の需要が高まり、売却しやすい時期です。不動産を売却するには、一般的に3〜6ヶ月程度かかります。
8~11月頃から売却の準備をしておくとよいでしょう。
不動産投資物件を売る流れ
ここでは、不動産投資物件を売る流れについて解説します。
マンション管理会社へ連絡する
まずは、マンション管理会社へ連絡します。
買い手がつくと、不動産会社から必要書類をもらい、売買契約を取り交わします。この時、組合員の資格喪失届も必要になります。
不動産の市場相場を把握
不動産の査定を依頼する前に売却予定の物件の相場を確認しておくとよいでしょう。
不動産流通機構が運営している「レインズマーケットインフォメーション」や国土交通省「土地総合情報システム」などで調べることができます。
書類を準備する
不動産売却には、以下のようなさまざまな書類が必要になります。
- 本人確認書類
- 登記簿謄本または登記事項証明書
- 売買契約書
- 固定資産税納税通知書
- マンション維持費等の関連書類
- 設備の仕様書
- 物件購入時の重要事項説明書
書類の中には、取得手続きから受け取りまで数週間かかるものもあるので、早めに対応をしましょう。
不動産仲介業者に相談
不動産仲介業者に相談し、仲介を依頼します。
家族が代々お世話になっている業者や最寄りの業者にお願いする方も多いですが、必ずしもお付き合いのある業者に依頼をするのが最善の選択という訳ではありません。
複数の不動産仲介業者を比較し、信頼できるところを選びましょう。
媒介契約の締結
媒介契約には、複数の業者と契約できる「一般媒介契約」、一社のみ契約が可能な「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。
種類 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
---|---|---|---|
契約社数 | 制限なし(同時に何社とも契約可) | 1社のみ | 1社のみ |
販売活動の内容 | 販売営業の約束 |
|
|
報告義務 | 規定なし | 14日に1回以上の状況報告 | 7日に1回以上の状況報告 |
売買契約
売主・買主の双方が納得した上で、売買契約を締結します。
仲介業者も加わり、代金の支払い時期や引渡し時期、手付金の金額などが記載された売買契約書を交わします。
決済・引き渡しを行う
決済をしてから物件を引き渡します。
住宅ローンの残債がある場合は、一括返済を行います。通常、司法書士が決済に立ち会い、売主側の抵当権抹消手続きや所有権移転登記手続きなども併せて行います。
買主が住宅ローンを利用する場合は、金融機関の店舗で決済を行います。
確定申告する
物件を売却し、利益が出た場合は、譲渡所得税の確定申告を行わなければなりません。
申告漏れや遅れが発生すると、追徴課税や延滞税などが発生するため、注意が必要です。
不動産投資物件を売却するタイミングを見極める時の注意点
不動産投資では、売却するタイミングの見極めが大切です。その注意点を解説します。
ローン残高を把握しておく
売却価格がローン残高を下回る状態は、いわゆるオーバーローンとなり、自己資金を準備しなければなりません。
自己資金が不足する場合は、売却のタイミングを見直す必要があります。
スムーズに売却できるようにしておく
必要書類を準備しておき、いつでも売却できるようにしておくことが大切です。
前述したとおり、査定を依頼する前に物件の相場を確認しておきましょう。
売却リスクを把握しておく
不動産を売却する際、すぐに売れるとは限りません。場合によって、希望の価格より安くなってしまうこともあるのです。
また、売却するときに仲介手数料や印紙税などの諸費用もかかります。
あらかじめ、売却リスクを把握しておきましょう。
最適の不動産投資物件の売却タイミングで売ろう
不動産投資は、適切なタイミングでの売却が利益を最大化する鍵となります。
不動産の価値は時間と共に変動するため、売却を考える際には市場の動向を理解し、物件の状態や将来性を慎重に評価する必要があります。
特に、築年数が経過するにつれて生じる減価償却や、大規模修繕の実施有無が不動産価値に大きく影響を及ぼす要因となります。
最適な売却タイミングは、市場状況、物件の状態、将来の市場見通し、そして投資家自身の投資戦略によって左右されます。
これらの要素を総合的に分析し、専門家の意見を参考にしながら、慎重に売却タイミングを決定することが、成功への鍵となります。
不動産投資は長期的な視野で考える必要があるため、短期的な市場の変動に惑わされず、堅実な戦略のもとで売却を進めることが賢明です。