住宅ローンが生命保険の代わりとなる?団体信用生命保険のメリットとその仕組みを徹底解説!
住宅購入を行うとき、多くの方が住宅ローンを組んで戸建て住宅やマンションの購入を行います。
その過程で生命保険の1つである「団体信用生命保険」通称「団信」に加入します。
団信には、多種多様な保障サービスが付与されているため、場合によって、現在加入している生命保険から乗り換えるという場合もあります。
そこで今回は、団体信用生命保険の仕組みや加入することで得られるメリット、そして団体信用生命保険が生命保険の代わりとして機能するのかについて解説して行きます。
「住宅ローンが生命保険の代わりになる」理由とは
「住宅ローンが生命保険の代わりとなる」という言葉は、特に日本の住宅ローン市場で使われることがあります。
これは、住宅ローンと生命保険を組み合わせて、住宅ローンの返済に関連するリスクを軽減し、借り手やその家族に保障を提供する仕組みを指します。
住宅ローンが生命保険の代わりとなる場合、通常の住宅ローンに加えて、借り手が死亡したり高度障害に陥ったりした場合、残された住宅ローンの残債を生命保険が一括で完済するという保障が付帯されています。
この仕組みにより、以下のような状況に備えることができます。
生命保険の代わりになる状況 | 適用される保障内容 |
---|---|
死亡時の保障 | 借り手が亡くなった場合、生命保険が住宅ローン残債を完済するため、遺族が住宅ローンの返済負担を抱えずに住宅を維持できる。 |
高度障害時の保障 | 借り手が高度障害になった場合、生命保険が住宅ローン残債を完済し、高度障害による生活費や医療費などに充てることができる。 |
このような保障があることで、借り手とその家族は住宅ローン返済に関するリスクを軽減できます。
しかし、この保険を利用するためには保険料が必要であり、保険料の支払いに関する条件や保障内容は保険会社や契約内容によって異なります。
そのため、借り手は契約前に十分な情報収集と検討が必要です。
住宅ローンが生命保険の代わりとなる仕組みは、家を購入し、住宅ローンを返済する際に安心感を提供し、家計のリスクヘッジを図る一つの方法です。
団体信用生命保険(団信)とは?
「団体信用生命保険」こと「団信」は、住宅ローンを組んで住宅購入を行うときに加入する住宅ローン専用の生命保険です。
団信に加入しておくことで、万が一の事態に対処できるほか、状況や保障内容によっては残債額を50%OFFあるいは完済処置が下るなど、手厚い保障を設けている団信もあります。
ここでは、団体信用生命保険に設けられている、主な保障内容について解説して行きます。
死亡・高度障害保障
死亡保障: 契約者が死亡した場合、団信によって住宅ローンの残高が一括で完済されます。
このため、遺族や相続人が住宅ローンの返済に関する負担を抱えずに家を維持できます。
また借用主が、特定の疾病や障害にかかったときに適用される「高度障害保障」に加入しておくと、住宅ローンの残債額が半減、あるいは全額完済などの処置が施されます。
加えて、高度障害により生活が制約され、収入が減少した場合でも、住宅ローンの負担を軽減できます。
三大疾病保障
三大疾病保障は、一般的な団信の特約の一つで、以下の三つの主要な疾病を対象とします。
3大疾病 | 適用される保障内容 |
---|---|
がん | 契約者ががんに罹患した場合、所定の状態に該当すれば、住宅ローンの残高が保障されます。 |
脳卒中 | 脳卒中になった際、特定の状態に該当すると、住宅ローンが完済されます。 |
急性心筋梗塞 | 急性心筋梗塞に罹患した場合、一定の条件を満たせば、住宅ローンの残高が保障されます。 |
8大疾病保障
8大疾病保障とは、前述した3大疾病である「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」に加えて、以下の5疾病と診断された方に適用される保障です。
- 高血圧症
- 慢性腎不全
- 慢性膵炎
- 糖尿病
- 肝硬変
これらの症状が見受けられると診断されたのち、症状が続くようであれば、保障内容に沿った処置が施されます。
保障内容は、加入した団信によって多種多様ですが、一般的には、ローン残高が半額あるいは全額返済になったり、一定期間の返済額を保障するなど、かかった病気の診断結果によって内容が変わります。
その他の特定疾病などに関する保障
一部の団信では、上記以外の特定の疾病や状態に関する保障も提供されています。
これらの保障は、個々の団信契約や金融機関によって異なり、具体的な条件や対象疾患が異なる場合があります。
契約前に、保障内容や条件を詳細に確認し、自身や家族のニーズに合った団信を選ぶことが重要です。
団信と生命保険の違い
団体信用保険に加入し、適用される保障内容の一部が現在加入している生命保険の内容と被るケースがあります。
しかし、団体信用生命保険に加入したからといって、前々から加入している生命保険が不要になることはありません。
ここでは、団体信用生命保険と生命保険との違いを、6つの観点から解説して行きます。
保険料
団体信用生命保険(団信)と生命保険では、保険料の支払い体系が大きく異なります。
団信は住宅ローンを提供する金融機関が契約者となり、保険料は住宅ローンの返済額に含まれることが一般的です。
このため、利用者は直接保険料を支払うことがなく、経済的な負担を感じにくいのが特徴です。
一方の生命保険は、個人が保険会社と直接契約を結び、定期的に保険料を支払う必要があります。
保険料は年齢や性別、健康状態によって変動するため、若く健康な時に加入すると割安になります。
保障範囲
団信は住宅ローンの残債を補填することが主目的であり、死亡や高度な障害により収入が途絶えた際に、残債を一括で支払うことができます。
一部の商品では、生活習慣病や三大疾病にも対応しています。
一方、生命保険は、被保険者が死亡したり重い障害を負ったりした際に、定期的な収入を遺族に提供することが主な目的です。
死亡や障害に対する保障は団信よりも広範にわたり、保障金額や期間も柔軟に設定できます。
保障金額
団信の保障金額は、住宅ローンの残債に連動しています。
つまり、住宅ローンの残債が減少すれば、保障金額も同じく減少します。
これに対して生命保険の保障金額は、契約時に自由に設定でき、死亡や障害が発生した際には、予め設定した金額が遺族に支払われます。
これにより、被保険者の死後も遺族の生活費や子供の教育費として利用することが可能です。
保険金の使い道が自由であるため、遺族の将来をよりしっかりと守ることができます。
中途解約・中途加入
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンを組む際にセットで利用されることが多く、金融機関が契約者となります。
これは住宅ローンの返済が困難になった場合に保険金でカバーするための仕組みです。
そのため、契約期間中の中途解約や途中での加入は基本的には認められていません。
一方で、生命保険は個人が契約するもので、生活費や教育費などの保障を目的としています。
このため、保障が不要になったり、保障額を増やしたいときには中途解約や追加加入が可能です。
生命保険料控除
生命保険料控除は、支払った保険料に応じて所得税や住民税が軽減される制度です。
団信はこの控除の対象外となることが一般的ですが、生命保険は控除の対象となることが多いです。
これにより、年間で最大4万円(所得税分)と2.8万円(住民税分)の節税効果が期待できます。
特に年収が高い人ほど、この制度を利用することで大きな節税効果が得られます。
保険金を受け取る時の流れ
団信の保険金は直接金融機関に支払われるため、受け取り手続きが簡単で相続手続きも必要ありません。
これに対して、生命保険の保険金は受け取り手続きがやや複雑で、相続税の計算にも影響を与えることがあります。
特に大きな保険金を受け取る場合、非課税枠を超えて相続税がかかることがあり、その準備と手続きが必要となります。
これらの点を考慮すると、受け取りの際の手続きや税金の面で団信と生命保険では大きな違いがあると言えます。
団信に加入すれば生命保険は不要になる?
団体信用保険もまた、生命保険の1つに当たりますが、適用される保障の大部分は住宅ローンの返済に充てられます。
また適用される保障内容の一部が加入している生命保険の内容と被るなどの理由から生命保険の解約を行われる方もいます。
しかし団信に入ったからといって、今まで加入していた生命保険が不要になるわけではありません。
ここからは、前節で紹介した団信と生命保険の違いを絡めながら、生命保険が不要にならない理由を解説して行きます。
カバーできないリスクの存在
団信は死亡や高度障害に対する保障を提供しますが、特約の適用条件や範囲が設けられています。
これにより、特定の条件を満たさない場合、保険金が支払われない可能性があります。
また、長期間の働けない状況に対する保障は限定的です。
生活費や将来の支出に備えるために、別の保険が必要な場合もあります。
例えば、『就業不能保険』は長期の収入喪失に備えるための選択肢です。
ペアローンを組むと各個人が債務者となる
夫婦がペアローンを活用して住宅ローンを組む場合、団信の保障は個別の契約者に対して適用されます。
したがって、どちらか一方が亡くなった場合、保険金は亡くなった契約者の債務をカバーしますが、遺された配偶者は自身の債務を引き続き支払わなければなりません。
このため、返済に不安がある場合は、生命保険で残りの債務をカバーする必要があります。
完済を持って団信保障の適用期間が終了する
団信は住宅ローンの返済不能リスクに備えるための保険であり、返済期間が終了すると保障も終了します。
ローン完済後も保険の必要性がある場合、保険の見直しを行う必要があります。
また、住宅ローンの借り換えを検討する際も、新しい金融機関による保険の加入が必要となることに留意するべきです。
最も生命保険は、年齢と健康状態によって加入条件や保険料が変動します。
将来に備えるためにも、保険の見直しと追加加入を検討することが賢明です。
住宅ローンと生命保険のバランスを見極めよう
住宅ローンを組む際は、団体信用生命保険への加入が義務付けられています。
団信も生命保険の1つに当たりますが、保障内容の大部分が住宅ローンの返済に関係しているものが多いうえ、適用状況が被っていたとしても、既存の生命保険ではカバーできない部分もあります。
なので、団信に加入される以前から生命保険に加入している方は、今一度、加入している保険の内容を見直しや新たな保険・特約の利用を検討してみましょう。