全国地価マップの見方を徹底解説!価額が分からない地域の調べ方・マップ上から判明する4つの評価価格
「全国地価マップ」とは、固定資産税路線価や相続税路線価、公示価格・基準地価といった公的評価が一目で分かるサイトです。
47都道府県内にある市区町村に記された評価額等を調べるときに用いりますが、専門用語が多用されていたり、ほしい情報以外にも様々な情報が得られるなどの特徴から扱いが難しいと感じている方もいます。
しかし、「全国地価マップ」が扱えるようになれば、相続や贈与などの場面で適切な価格を決める時の目安になります。
そこで今回は、全国地価マップ上からわかる4つの評価価格とマップの見方について解説して行きます。
全国地価マップとはどのようなサイト?
画像参照:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ・相続税路線価」より
全国地価マップは、日本全国の土地価格を示すデータベースを持つWebサイトです。
このサイトは、国土交通省や地方公共団体が実施する地価調査の結果を基に、土地の公示価格や取引実績価格などの情報を提供しており、利用者は、地域や住所を入力することで、特定の場所の土地価格の平均値や近隣の価格動向を知ることができます。
特に不動産取引に関わる業者や個人にとって、土地の評価や価格設定の参考資料として有効的に活用できます。
また、市場動向や地域の土地の価値を知りたい一般市民にも利用されている。
適切な土地価格を知る術として使用できる公的サイト
全国地価マップは、土地の適正価格を知るための公的な情報提供ツールとして多くの方々に利用されている。
公示価格や取引実績価格は、土地取引の際の基準価格として使われることが多く、これによって適切な取引が可能となる。
公的なデータに基づく情報であるため、信頼性が非常に高いです。
特に不動産業者、投資家、ホームバイヤーなど、土地価格に関心を持つあらゆるユーザーにとって、正確かつ最新の情報アクセスの場としての役割を果たしています。
土地情報システムとの違い
土地情報システムは、土地の利用状況や開発の計画、所有者情報などの詳細な情報を提供しています。
一方、全国地価マップは主に土地の価格情報を中心に提供しています。
土地情報システムは、土地の利用計画や開発に関する情報を求める方や自治体関係者などが主なユーザーであり、全国地価マップは、土地の取引価格や市場価格を知りたい人々が主なターゲットになります。
両者は情報の内容や提供するターゲットが異なるため、利用シーンや目的に応じて適切なサイトを使用しましょう。
以下は、全国地価マップと土地情報システムの違いをまとめた一覧表になります。
サイト名 | サイトを活用することで得られる情報 | サイト活用で分かること |
---|---|---|
全国地価マップ | 固定資産税路線価 相続税路線価 地価公示価格 都道府県地価調査価格 |
その土地が過去、いくらで取引されていたのかという売買記録。 土地の評価価額を求めるための情報が得られる。 |
土地情報システム | 不動産取引価格情報検索 地価公示・都道府県地価調査 不動産取引価格アンケートによるWeb回答の投稿 |
1㎡あたりの土地の取引の相場価格に関する情報が得られる。 |
全国地価マップから判明する評価価格
全国地価マップは、日本の土地の評価価格を参照するための一般的なツールであり、ここでは4つの主要な評価価格が示されている。
- 固定資産税路線価
- 相続税路線価
- 地価公示価格
- 都道府県地価調査価格
それぞれの価格は、異なる目的や計算方法に基づいており、土地の実際の取引価格やその土地に対してかかる税金の計算などに使用されています。
これらの評価価格を理解することは、不動産取引や税務対策を行う上で非常に重要です。
ここからは、4つの評価価格について解説して行きます。
固定資産税路線価
固定資産税路線価は、固定資産税の基礎となる土地の価値を示す価格である。
全国地価マップによって明らかになる評価価格は、この路線価の算定の一助になります。
路線価は、特定の時点での土地の公正な市場価値を示すものとして、市町村ごとに公示されています。
これは、土地の価格が過大または過小に評価されることを防ぎ、公平な税金の徴収を実現します。
また、固定資産税の計算に使用されるだけでなく、土地取引の際の価格や、以下の税金を計算するときにも役に立ちます。
- 都市計画税
- 不動産取得税
- 登録免許税
なお、固定資産税路線価は、土地1㎡当たりの公示地価の約7割にあたり、3年おきに市区町村が1月1日時点の評価を基に計算して、4月ごろに公表しています。
よって、1~3月の間に収める固定資産税を計算する際は、前年度の固定資産税路線価を頼りに計算する必要があります。
相続税路線価
相続税路線価は、相続税と贈与税の納税額を算出するときに用いられる土地価格の指標です。
全国地価マップからの情報は、この路線価の設定にも貢献しています。
相続が発生した時、遺産として土地を受け取る際には、この価格に基づき税金が算定します。
相続税路線価は、土地の実際の市場価格とは異なる場合があるため、適正な評価を求める際には注意が必要です。
しかし、全国地価マップを参照することで、一般的な土地の価格動向を理解しやすくなります
また、相続税路線価は、毎年1月1日時点の評価価格を基に情報更新を行っており、毎年7月に最新情報が公表されます。
そのため、更新作業が行われる1~6月中に相続税や贈与税を求める際は、前年の相続税路線価を基に計算することになります。
地価公示価格(公示地価)
地価公示価格は、国土交通省が毎年公表する土地の価格であり、特定の日における土地の標準的な市場価格を示しています。
これは、公平かつ透明性のある土地取引のための基準として設定されており、都市部の主要な地点を中心に算定されます。
全国地価マップを参照することで、各地の地価公示価格の動向や比較が可能となり、不動産業界や行政、そして市民にとって有益な情報として活用します。
地価公示価格は、土地の取引や開発、税金評価などの際の参考価格として広く用いられます。
また地価公示価格は毎年1月1日に国土交通省が調査を実施し、最新情報を毎年3月に公表しています。
なお、建物が建っている土地は、建造物がない場合を想定した価格で表示されています。
都道府県地価調査価格
都道府県地価調査価格は、各都道府県が実施する土地価格の調査に基づく価格情報です。
これは、地価公示価格よりも広範な地域をカバーし、地域特性や細かな地点の土地価格を反映しています。
全国地価マップにおけるこの調査価格の情報は、地域間の土地価格の比較や、特定の地域の土地価格の動向を把握するための重要なデータ源となっています。
都道府県地価調査価格は、地域開発や土地利用の計画、不動産の取引価格の参考など、多岐にわたる目的で活用します。
全国地価マップの見方
全国地価マップは、日本全国の土地の評価価格を提供するWebサイトであり、土地価格に関する様々な情報が掲載されています。
しかし、これらの情報を効果的に利用するためには、それぞれの評価価格の見方を正しく理解する必要があります。
ここでは、4つの評価価額の見方について解説して行きます。
固定資産税路線価の見方
固定資産税路線価は、各市町村が土地の評価価格として定めています。
全国地価マップ上でこの価格を参照するとき、まず該当する地域や住所を入力または選択します。
画像参照:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ・固定資産税路線価」より
その後、表示されるマップ上の特定の地点をクリックすることで、その地点の固定資産税路線価が表示される。
画像参照:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ・固定資産税路線価」より
この価格は、固定資産税の計算の基準となるため、土地を所有している人は特に注意深く確認しましょう。
路線価が表示されないときの対処方法
固定資産税路線価を調べていくと、エリアによっては、路線価が表示されていないエリアがあります。
この時は、画面左下にある「状況類似地域(図)」にチェックを入れると、下記画像のように状況類似地域がピンク色で表示されます。
画像参照:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ・固定資産税路線価」より
状況類似地域は、下記画像のように点線で囲まれたエリアを示します。
そして状況類似地域内には、その地域を体表する土地単価を示す標準宅地が存在します。
その宅地を選ぶことで標準宅地の単価が画面左側に表示されます。
画像参照:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ・固定資産税路線価」より
相続税路線価の見方
相続税路線価は、土地の相続時の評価額として使用されます。
全国地価マップでこの価格を確認する場合、同様に地域や住所を入力して特定の地点を選択します。
画像参照:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ・相続税路線価」より
表示される詳細情報の中から相続税路線価に関する情報が得られます。
画像参照:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ・相続税路線価」より
上記マップ中にある「1120C」や「2210C」といった数字とアルファベット記号が表示されています。
この表記が相続税路線価を示し、数字部分は千円単位で表示されている土地価格になります。
例えば、「1120」であれば、「1,120,000円/平米」という意味になります。
またアルファベットは、借地権割合を示しており、段階はA~Gの7段階評価となっています。
評価段階 | 借地権割合 |
---|---|
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
G | 30% |
相続税路線価が表示されていないときの対処方法
画像参照:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ・相続税路線価」より
上記図のように一部のエリアでは、相続税路線価が表示されない場合もあります。
このようなエリアは、倍率地域と呼ばれており、当エリア内の路線価を調べたいときは、調べたい場所をクリックして、下記画像のように旗印を立てます。
画像参照:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ・相続税路線価」より
倍率地域で倍率地域を調査する際は、対象をクリックして上記画像のような旗印を立てます。
その後、画面左側に表示されたPDFファイルを開くことで倍率表が確認できます。
画像参照:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ・相続税路線価」より
例えば、宅地の列に「1.1」のような数値が割り当ててあれば、固定資産税評価額を1.1倍すればおおよその相続税評価額が判明します。
地価公示価格の見方
画像参照:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ・地価公示価格」より
地価公示価格は、国土交通省が公表する土地の平均的な取引価格を示しています。
マップ上には、黒の四角と赤の三角が表示されています。
黒の四角は公示価格を、赤の三角は基準地価を示しています。
それぞれのポイントをクリックすると、以下のような評価ポイントが表示されます。
画像参照:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ・地価公示価格」より
全国地価マップ上で、選択した地域や住所の近隣の地点に表示される金額がこの価格になります。
これは、土地の市場価格の動向を把握するための指標となるため、不動産取引や投資の参考として活用します。
都道府県地価調査価格の見方
都道府県地価調査価格は、各都道府県が独自に実施する土地価格の調査に基づきます。
全国地価マップ上では、選択した都道府県や市町村の情報の中から、この調査価格を参照できます。
この価格は、各地域の土地の特性や価格動向を深く理解するための情報源として、地域ごとの土地取引の参考にされることが多いです。
全国地価マップを使いこなせれば土地価格の把握が容易になる
全国地価マップは、日本全国の土地の評価価格を一覧できる便利なツールです。
このマップを上手く活用することで、土地取引の際の参考資料や市場動向の把握が非容易に行えます。
固定資産税路線価や相続税路線価、地価公示価格、都道府県地価調査価格など、多岐にわたる評価価格の情報が一元的に提供されているのが特徴である。
これにより、土地の実際の価値や市場価格の動向をリアルタイムで知ることが可能となります。
特に不動産取引や土地投資を検討している人々にとって、正確で最新の土地価格情報を手軽に得られるサイトとして重宝されています。
全国地価マップを使いこなすことで、土地価格の把握が容易となり、より賢明な不動産取引や投資判断が可能になります。