アパート一棟買いは失敗しやすい?失敗例と対処法を解説
一棟投資のコストを出来るだけ抑えて始める方法として、アパート投資が挙げられます。
マンションと比べると購入のコストが下がるので、高利回りになりやすく大きな利益が期待できます。
ただ、基本的に一棟投資は区分投資に比べて運用の手間が大きくなるため、実際に始めた後に難しいと感じたり、失敗してしまったりする方も多いです。
アパートの一棟買いを始めたい人は、失敗事例を確認して同じ過ちを犯さないように気をつけましょう。
ここからは、アパートの一棟買いで実際に起こった失敗例と失敗しやすい人の特徴を解説してから、失敗しないためのコツを紹介します。
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アパート一棟買いで失敗した例
アパートの一棟買いとは、数戸~十数戸あるアパート全体を購入して運用する方法です。
区分所有よりも大規模な不動産投資が可能ですが、失敗したときの損失が大きくなるので注意が必要です。
以下にそれぞれの失敗例を解説します。
空室率が上がる
アパートの一棟買いをして最も多い失敗例は、アパート全体の空室率が上がってしまうことです。
周辺地域の賃貸需要を考えたうえでアパート経営を始めなければ、入居者は入りません。
例えば学生が多いエリアなのか、ファミリー層が多いエリアなのかによって、準備すべき物件条件も変わります。
また、近隣の大学が移転するなど、物件の周辺環境が運用途中に変わってしまうこともあります。
できる限り周辺環境の情報を仕入れて、突然の変化に対応できるようにしておきましょう。
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ローンを借り過ぎてしまう
不動産投資を始める際は、一般的に不動産投資ローンを組んで始めることが多いです。
ただ、いくらアパートといっても一棟買いをすると費用は大きくなるので、ローンを借り過ぎてしまうのは危険です。
特に、頭金0で諸費用込みの借入をすることで、物件価格以上の金額を借り入れる、いわゆるオーバーローン状態に陥ってしまいます。
一棟買いは利回りが大きい分、空室が増加した場合のリスクも大きく、更にローンの借り入れも高額だと首が回らなくなってしまいます。
収益の見込めない物件を購入してしまう
区分投資は、同じ棟の満室状況などを鑑みれば、収益の見込がある程度立てやすいのが魅力です。
一方で、空室のアパートを一棟買いする場合などは、そこから募集をかけても収益化できるかどうか確実に分かる訳ではありません。
かつ、一棟買いは初期費用も大きいため、見込が外れた時は自己破産などに繋がる最悪のケースもあります。
維持費が高くつく
実際にアパート一棟を購入して経営を始めたとしても、様々な維持費がかかります。
アパートの維持費としては、大きく次の費用が掛かります。
- 大規模修繕費
- 外壁塗装費用
- リフォーム費用
- 損害保険料
- 管理費
特に10年~15年に一回しなければならない大規模修繕費用は数百万円かかることもあります。
アパートは築年数が経過するごとに老朽化してしまうので、入居者を集めるのが難しくなっていきます。
中には大規模修繕工事を前提にしている物件が売り出されていることがあるので、アパートの築年数には気をつけましょう。
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アパート一棟買いで失敗する人の特徴
利回りを重視しすぎる
不動産投資で物件を選ぶ際は「利回り」が判断材料になりますが、利回りが高い物件を選ぼうとする人は失敗しやすいです。
利回りが高いということは、失敗するリスクが高いということです。
利回りが高いと収益性が高いことは間違いありませんが、失敗する確率も高くなるので注意が必要です。
また、不動産を購入する際に提示されている利回りは、経費を差し引いていない「表面利回り」です。
経費を計算した「実質利回り」を確認すると思っていたより利益が出ないこともあります。
そのため、自分の経済状況やリスクの高さなど、総合的に判断して始めることが重要です。
管理会社を活用しない
アパート経営では管理会社に依頼することが多いですが、管理会社を活用しない人も失敗しやすいです。
管理会社に依頼すると委託料がかかるので余計な費用など感じるかもしれませんが、実際の運用では入居者のトラブルや建物の維持管理など、対応しなければならないことは多いです。
アパートの管理に慣れている管理会社に委託すると自分の手間が省けるだけでなく、入居者からの信頼も得やすくなる可能性が高いです。
入居者からの信頼があれば、入居率も下がりづらいので一石二鳥となります。
収益の出にくいエリアを選ぶ
現在は全国各地の不動産をインターネットで探せるようになったので、自分が住んでいないエリアの物件を探すことができます。
不動産投資ができる範囲は広がりましたが、直接現地の状況を確認できないため、アパート経営に適していないエリアを選んでしまうこともあります。
例えば駅から近い物件はアクセスが良いと考えてしまいがちですが、地方では車での移動が基本なので、駐車場の有無の方が重要なファクターになりやすいです。
地域の特性を知らずに購入してしまうとアパート経営に失敗しやすいので気をつけましょう。
遠い地域の物件を購入する際は、少なくとも1回は物件の周辺地域の環境を見に行く方が無難です。
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アパート一棟買いで失敗しないためのコツ
キャッシュフローを確認する
不動産投資におけるキャッシュフローは、家賃収入からローン返済額やその他経費を差し引いた残額のことです。
利回りだけでなく、キャッシュフローを物件ごとに比較することで安定した投資にしやすいです。
また計算する際は入居率が100%の状況だけでなく、80%や50%など入居率が下がった場合も計算しておくことで損失が出た場合にも対応しやすいです。
現地調査を行う
空室率を下げるために、現地調査をして物件の周辺環境や利便性を調べることは重要です。
近隣にスーパーやコンビニなどの買い物環境が整っているかや、治安の良さを調べることで入居しやすい環境かどうか判断できます。
年数が経過すると環境が変わる可能性もありますが、購入する段階で今後周辺環境の変化がないか情報を集めておくことも大切です。
リノベーションを検討する
アパート一棟買いをする段階で、リノベーションをすることを前提に物件を選ぶのも一つの方法です。
アパートは10~15年程度で一度大規模修繕を行う必要があるので、必ず修繕費用が掛かります
どうせ修繕工事をするのであれば、最初から中古物件を購入してリノベーションをするのもおすすめです。
リノベーションをすると周りのアパートと差別化できるため、入居者が集まりやすくなるメリットもあります。
アパート一棟買いは失敗しやすいので注意
アパート一棟買いは、区分所有に比べて失敗しやすい特徴があります。
物件の比較検討がしづらい点やオーバーローンで始めてしまう失敗例があるので、失敗しやすい点を理解しておきましょう。
失敗しないためには、現地調査やキャッシュフローを確認して利回りだけで物件を選ばないなどの注意点を意識しておくと良いです。
アパート一棟買いのリスクを理解して、物件選びも慎重に行いましょう。