不動産投資ローンを組むのに必要な年収はいくら?属性や借入可能な金額を年収別で紹介
不動産投資は、多額の初期費用が掛かる投資手法であるため、始めたくても資産が足りないなどの利用から断念する方が多いです。
しかし、そのような方のために、一部の金融機関では不動産投資用のローンを取り扱っています。
当然ながら、「ローン=借金」である以上、借入前には、申込者の属性や返済能力、信用情報を基に融資の有無を決定する審査が行われます。
なお、審査基準については申込先の金融機関が定めた基準に則って実行されるほか、具体的な審査内容については公開されていません。
そのため、投資家の中には、融資が受けられるのかどうか不安という方もいます。
そこで今回は、ローン審査を通過できる可能性がある年収の水準や審査基準について解説して行きます。
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不動産投資ローンを組むのに必要な年収の基準
不動産投資ローンを成功させるためには、適切な年収が必要です。
一般的に、多くの金融機関が年収700万円以上を基準に融資を行っています。
この年収があれば、不動産投資におけるローンの選択肢が広がるほか、より良い条件での融資を受ける可能性が高まります。
しかし、700万円以上の年収があっても、必ずしもローンの承認が保証されるわけではありません。
金融機関は、借り手の信用状況、既存の借入れ、購入物件の価値など、多くの要因を考慮して審査を行います。
特に、メガバンクなどの大手金融機関は審査基準が厳しく、年収1,000万円以上の高収入者に適した条件を提供していることが多いです。
しかし、基準の700万円に満たない場合でも、ローンを組むチャンスはあります。
例えば、年収500万円から700万円の範囲であれば、他の借入が多くなく、購入しようとする物件が適切な価格である限り、ローンの承認を得る可能性はあります。
また、日本政策金融公庫のような公的機関は、民間の銀行よりも審査が通りやすく、年収が500万円程度でも融資を受けられます。
さらに、自己資金を20%以上用意することができれば、年収が低めでもローンの審査に通りやすくなります。
金融機関は、投資への真剣な姿勢や資金管理の能力を重視しています。
したがって、自己資金の準備は、不動産投資ローンを成功させるための重要な要素の一つと言えます。
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不動産投資ローンの審査基準
不動産投資ローンの審査は、申込者の基本情報、収入状況、物件の価値・収益力など多面的な要素に基づいて行われます。
これらの基準は、金融機関が投資家の返済能力やリスクを評価する上で重要な要素となります。
ここからは、各審査の基準について紹介します。
申込者の基本情報
申込者の年収、勤務先の規模、勤続年数、家族構成などは、融資の審査において基本となる情報です。
大企業に勤めている者や長期間同一企業に勤務している者は、審査において有利と見なされる傾向があります。
収入状況
収入状況は、融資の審査において最も重視される要素の一つです。
年収の高さだけでなく、収入の安定性や将来的な増減の可能性も重要な判断材料となります。
物件の価値・収益力
不動産投資ローンでは、物件の価値と収益力も審査の重要な要素です。
物件の立地、建物の状態、賃貸市場での需要などが評価されます。
高い資産価値と安定した収益性を持つ物件は、審査において好ましく評価されます。
住宅ローンの借入状況
住宅ローンなど他の借入状況も重要な審査基準です。
多額の他の借入がある場合、追加のローンの返済能力に疑問が生じ、審査に不利になる可能性があります。
保有資産の有無
投資家が保有する資産、特に流動性の高い資産は、返済能力の補完として重要視されます。
現金や有価証券、不動産などの資産が豊富な場合、融資の審査において有利に働くことがあります。
個人信用情報
個人信用情報は、過去のローンの支払い状況やクレジットカードの利用履歴などを示し、返済能力を評価する重要な要素です。
支払い遅延やデフォルトの履歴があると、不動産投資ローンの審査に大きく影響する可能性があります。
不動産投資ローンの借入限度額【年収別】
不動産投資ローンの借入限度額は、申し込む者の年収に大きく依存します。
年収が高いほど、金融機関は返済能力が高いと判断し、より大きな額の融資を提供する傾向があります。
しかし、物件の価格やその収益力、他のローンの有無なども審査の際に重要な要素となります。
ここでは、年収別で不動産投資ローンの借入限度額について紹介します。
年収300万円の方が借入できる限度額
年収300万円の場合、不動産投資ローンの利用は非常に制限されています。
主な選択肢としては、日本政策金融公庫を活用する方法があり、物件価格の50%程度の融資が可能です。
しかし、住宅ローンの不正利用や、購入物件の選定には特に注意が必要です。
年収400万円の方が借入できる限度額
年収400万円の場合、借入限度額は一般的に3,200万円から6,000万円程度となります。
勤務先の企業規模によっても借入条件が異なるため、大企業またはそれに準ずる企業に勤務している場合、より有利な条件が得られることがあります。
年収500万円の方が借入できる限度額
年収500万円の場合、借入限度額は4,000万円から7,500万円程度となります。
これは区分マンションや一棟物件を購入する際の基本的な水準と言えます。
年収500万円以上があれば、不動産投資の選択肢は広がります。
年収800万円の方が借入できる限度額
年収800万円の場合、融資可能額はさらに増加し、一般的には6,400万円から1.2億円程度の範囲となります。
この収入帯では、物件や金融機関の選択において比較的多くの選択肢があり、不動産投資のスケールを拡大することが可能です。
年収1,000万円の方が借入できる限度額
年収1,000万円の場合、借入可能額は通常8,000万円から1億円を超えることもあります。
この年収レベルでは、不動産投資の選択肢が大幅に広がり、区分マンションのみならず、一棟物件の購入も視野に入ります。
ただし、高収入者は不動産投資詐欺のターゲットになるリスクも高く、慎重な投資判断が求められます。
不動産投資ローンの借入可能額【金融機関別】
不動産投資ローンの借入可能額は、利用する金融機関によって大きく異なります。
同様に金融機関の種類によって、融資の審査基準、金利、手続きの速度なども変わるため、投資目的や個人の状況に合わせて最適な金融機関を選ぶことが重要です。
また、これらの金融機関を選ぶ際には、自身の経済状況や不動産投資の目的を考慮し、最適な融資条件を提供する機関を選定することが重要です。
ここでは、不動産投資ローンを取り扱っている金融機関ごとの特徴と融資額について解説します。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、中小企業や社会的弱者を支援する政府系金融機関です。
年収が低い方や非正規雇用者でも融資を受けることが可能で、特に女性や若年層、高齢者には優遇措置が設けられています。
融資上限は4,800万円で、最長20年の借入期間が設定されていますが、審査基準は厳格です。
大手銀行・メガバンク
大手銀行やメガバンクは、審査基準が厳しいものの、低金利での融資を提供することが多いです。
安定した収入と良好な信用情報を持つ個人にとっては、有利な融資条件が期待できる選択肢です。
地方銀行
地方銀行は地域密着型で、地元のビジネスや個人に対する融資に積極的です。
大手金融機関で融資を断られた場合でも、地方銀行では融資を受けるチャンスがあります。
ただし、融資基準や手続きは銀行ごとに異なります。
ネット銀行
ネット銀行の特徴は、審査や契約手続きがオンラインで完結する点です。
外出が難しい方や忙しい方には便利な選択肢ですが、一般的には金利がやや高めに設定されています。
ノンバンク
ノンバンク金融機関は、融資審査が比較的柔軟で、スピーディーな融資が可能です。
用途に制限がなく幅広いニーズに応えますが、高めの金利や中途解約時のペナルティがある点に注意が必要です。
年収が低くても不動産投資の融資を受ける方法
年収が低くても不動産投資の融資を受ける方法はいくつか存在します。
重要なのは、自己資金の準備、属性情報の改善、そして専門家からのアドバイスを得ることです。
これらの戦略は、金融機関から信頼を得るために役立つでしょう。
自己資金を用意する
自己資金を多く用意することは、金融機関からの融資を受けやすくするための基本的な戦略です。
自己資金が多いほど、融資を受ける際のリスクが減少し、金融機関の信頼を得やすくなります。
また、不動産投資への真剣な姿勢が伝わり、計画的な資金管理ができていると評価されます。
ただし、自己資金を貯めるのに時間がかかることもあるため、早めに計画を立てることが重要です。
自身の属性情報を引き上げる
属性情報を改善することで、ローンの審査に有利に働きます。
具体的には、不要なクレジットカードの解約や限度額の引き下げ、他のローンの借り換えや繰り上げ返済などが挙げられます。
これらの措置は、金融機関に対して借入能力があり、財務状況が健全であることを示すために役立ちます。
また、定期的な収入と支出の記録を保持することも、信用情報の改善に貢献します。
不動産投資会社に相談する
不動産投資会社に相談することも、融資を受ける際の有効な手段です。
これらの会社は通常、金融機関と密接な関係を持っており、融資プロセスをスムーズに進めるのに役立ちます。
また、専門家からのアドバイスを受けることで、不動産投資のリスクを理解し、適切な物件選びや投資計画を立てることができます。
不動産投資の知識が乏しい初心者にとって、専門家のサポートは非常に価値があります。
不動産投資ローンを組む流れ
不動産投資ローンを組むには、一定の手順を踏む必要があります。
ローンの申し込みから契約締結までのプロセスは、特に初めての投資家にとっては複雑に感じるでしょう。
ここでは、不動産投資ローンを組む流れと併せて、各工程での注意点を詳しく説明します。
申し込みに必要な書類をそろえる
最初にローンの申し込みに必要な書類を準備します。
これには身分証明書、印鑑証明書、住民票、職務歴が分かる書類、保有資産の内容が分かる書類、源泉徴収票または確定申告書、納税証明書などが含まれます。
これらの書類は、金融機関によって求められる内容が異なるため、事前に確認し、全ての必要書類を揃えておくことが重要です。
事前審査を受ける
次に、金融機関による事前審査を受けます。
この段階では、借入者の返済能力や信用情報が大まかにチェックされ、本審査へ進むかどうかの判断が下されます。
事前審査は、申し込み者にとっても金融機関を選定するための重要な手段となります。
本審査を受ける
事前審査を通過した後は、本審査に進みます。
ここでは、さらに詳細な審査が行われ、借入者の財務状況や不動産の価値などが徹底的に調べられます。
事前審査を通過しても、本審査で落ちるケースもあるため、注意が必要です。
審査結果が通知される
本審査を経て、審査結果が借入者に通知されます。
この段階で融資が承認されると、ローン契約へ進むことができます。
ただし、審査結果が否定的であれば、再申し込みや他の金融機関への申し込みを検討する必要があります。
契約の締結
最終的に融資が承認された場合、金銭消費貸借契約や抵当権設定契約、団体信用生命保険などの契約を締結します。
この時点で、借入額の融資が行われ、物件の引き渡し日に実行されます。
契約内容は非常に重要なので、隅々まで確認し、理解しておくことが必要です。
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不動産投資ローンを利用する上で年収は大きな審査基準になっている
不動産投資ローンの審査において、年収は重要な基準です。
年収が高ければ、金融機関は返済能力が高いと判断し、より好条件での融資が期待できます。
一方、年収が低い、または不安定な場合は、融資のリスクが高いと見なされ、融資が難しくなるか、条件が厳しくなる可能性があります。
しかし、年収以外にも勤務先の安定性、勤続年数、家族構成、信用情報などが審査の重要な要素となります。
したがって、年収が低くてもこれらの要素が良好なら、融資の可能性は残されています。
不動産投資ローンの成功には、年収に加えてこれらの総合的な財務状況を考慮し、適切な準備と戦略が必要です。