マンション・アパート経営でかかる管理費・修繕費とは?それぞれの特徴・費用相場や費用を抑えるポイント
マンション・アパート経営では、入居者の満足度の向上や建物の管理のための管理費や修繕費が必要です。
管理費は入居者から家賃とは別に貰いますが、修繕費はオーナーが支払う費用です。
修繕費は準備しておかなければ突然大きな出費になることもあるので、どの程度かかるか目安を確認しておきましょう。
この記事ではマンション・アパート経営の管理費と修繕費について簡単に解説してから、それぞれの相場や修繕費を抑えるポイントを解説します。
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マンション・アパート経営の「管理費」「修繕費」とは?
マンション・アパート経営の管理費と修繕費は、どちらも建物の状態を維持・向上するために必要な費用です。
大きな違いは、「管理費」は入居者から家賃とは別に徴収する費用で、「修繕費」はオーナーが支払う費用という点です。
それぞれの特徴や、どのような場面で利用するかを以下に解説します。
「管理費」は維持管理を目的にする費用
管理費は次のような用途で使用されます。
- エントランスや共用部分の電気代
- 共用スペースの水道料金
- 管理人の人件費
- 浄化槽の点検費
管理費はマンション・アパートの共用部分の維持管理に利用される費用です。
毎月・毎週の定期メンテナンスで利用され、物件の価値を落とさないための維持費用としての側面が強いです。
管理費と似た言葉に「共益費」がありますが、ほとんど同じ意味合いで使われるため、管理費と共益費がどちらもかかる物件はほとんどありません。
「修繕費」は元の状態に戻すための費用
修繕費はオーナーが自ら支払う費用ですが、壊れた部分を元の状態に戻す側面があります。
定期的なメンテナンスとは違って、数年に一回程度の頻度で行われるため、ある程度まとまった資金が必要になるケースが多いです。
マンション・アパートなどの賃貸物件は築年数が経過するにつれて劣化が進むのは避けられないので、修繕費は必ずかかります。
マンション・アパート経営を始める際は、定期的にかかる修繕費を費用として計算しておくことが大切です。
マンション・アパート経営の管理費の相場
マンション・アパート経営の管理費は、設定に明確なルールがないためオーナーによってバラバラとなっています。
しかし、一般的な相場としては、管理費は家賃の5~10%程度になることが多いです。
例えば家賃8万円の部屋であれば、管理費は4000円~8000円程度になります。
物件によっては管理会社に委託しているケースもありますが、管理費は変わりません。
高級賃貸は管理費が高額
一般的な管理費の相場は上記の通りですが、高級賃貸として扱われる物件は管理費が相場より高く設定されることがあります。
建物の資産価値が高いと維持管理に必要な費用も高くなるので、管理費が高めに設定されます。
管理費が高い物件は、コンシェルジュサービスなどの共用サービスが充実していることが多いです。
また、総戸数が少ない物件は1戸あたりの管理費が高くなる傾向もあります。
家賃に組み込まれているケースもある
賃貸物件の中には、管理費がかからない部屋があります。
しかし、基本的に管理費は全ての部屋でかかるため、家賃に組み込まれていることが多いです。
例えば家賃8万円の物件であれば、家賃を管理費と合わせて88000円と記載しています。
管理費込みで家賃を設定している物件は、オーナーにとっては得になるケースが多くなります。
入居者が支払う初期費用は「家賃の4~6か月分」と決められていますが、管理費を家賃に含めている場合はその分初期費用が多くもらえるからです。
初期費用に数万円の差が生まれるので、全体で見れば大きな金額差になります。
マンション・アパート経営で必要な修繕費の種類
マンション・アパート経営では修繕費が必要ですが、修繕費が必要になるケースとしては次の4つの場面に分かれます。
- 原状回復
- 予防修繕
- 補修
- 大規模修繕
それぞれの頻度や費用の目安を理解しておくと、準備することができます。
以下にそれぞれの特徴を解説していきます。
原状回復
原状回復費用とは、マンション・アパートの賃貸借契約が終了して入居者が退去した後に、部屋を元の状態に戻す際にかかる費用です。
一般的には、入居の際に賃借人が支払った敷金から差し引かれます。
室内の破損や改造がある場合は、入居者の負担で修繕することになります。
費用の目安としては、20万円以下で済む場合が多いです。
ただし、賃借人の責任ではない修繕部分に関しては、オーナーが修繕費を負担する必要があります。
オーナーが修繕費を支払わなければならないケースとしては、次の項目が挙げられます。
- 壁に張ったポスターの痕
- 家具の設置による凹み
- 日照による畳やクロスの変色
日常生活で発生した傷などはオーナーが負担する義務があります。
予防修繕
予防修繕とは、大きな修繕をする前に予防的に行う修繕です。
不具合が発生する前や小さな不具合が発生したタイミングで、早めに対処を行う修繕が予防修繕に含まれます。
予防修繕の例としては、次のケースがあります。
- シロアリの検査
- 外壁・屋根の状態検査
- 配管の劣化調査
予防修繕を行う頻度としては1年~数年に1回か、入居者が退去タイミングで行われるので、それほど頻繁に行われるわけではありません。
また予防修繕の費用目安は、数万円~数十万円程度が一般的です。
補修
補修は賃借人が入居中に、物件そのものや設備に不具合が発生して修繕することを指します。
補修は水回りの設備や機械の故障などの軽微な修繕から、雨漏りの修繕など大規模な修繕になるケースがあります。
突発的に修繕が必要になるので、支出計算をしておくことは難しいです。
補修にかかる費用目安としては数万円~数十万円程度で済むことが多いですが、大規模な補修が必要な場合はさらに費用が掛かります。
大規模修繕
マンション・アパート経営では、屋根や外壁などの大規模修繕を10年~15年に1度行う必要があります。
屋根の塗装や葺き替え、タイルの張替えなどをして建物の劣化を防ぐ修繕工事です。
外壁や屋根の工事は足場が必要になるので、期間も長くコストもかかります。
しかし、大規模修繕は完全に補修が必要になる前に行う予防修繕の役割もあるので、長期的に運用するのであれば必ず行うべき修繕です。
大規模修繕の費用目安としては、数百万円~1000万円程度かかります。
マンション・アパート経営の修繕費を抑えるポイント
マンション・アパート経営ではある程度修繕費がかかりますが、コストを抑えるためには次のポイントを意識してみましょう。
- 入居者審査を厳正に行う
- 定期的に修繕を実施する
- 修繕費用を計画にいれたプランを作る
マンション・アパート経営では様々な部分で修繕費が必要になるので、修繕費が必要になった際に落ち着いて対応できるように準備しておくことが重要です。
以下にそれぞれのポイントを解説します。
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入居者審査を厳正に行う
修繕費を抑えるポイントとして、マナーの悪い入居者を入居させないようにする方法があります。
マナーの悪い入居者は部屋を乱暴に使うことが多く、想定外に部屋が汚くなる可能性が高いからです。
退去時の原状回復では入居者負担にできる部分もありますが、オーナー負担になることもあるので、無駄な修繕費を支払わないためにも入居者の質を上げることは重要です。
マナーの良い入居者は良い状態で部屋を返してくれることが多いので、修繕費を節約する事にもつながります。
定期的に修繕を実施する
マンション・アパート経営の修繕費を抑えるためには、定期的に修繕を実施して大きな不具合を発生させないことが大切です。
大規模な修繕が発生してしまうと費用もかさむので、こまめに修繕しておくことで総合的な修繕費を削減できます。
また台風などの天災が来ることが分かっている場合は、事前にこまめに安全確認をしておくことで、大きな修繕をしなければならなくなるケースを回避できます。
修繕箇所の早期発見ができれば物件の資産価値の向上や入居率の上昇にもつながるので、計画的に修繕しておくと良いです。
修繕費用を計画にいれたプランを作る
これからマンション・アパート経営を始める人は、修繕費用を含めた建築プランを練っておくことです。
マンション・アパート経営は家賃収入を主な収入源とする投資ですが、突発的にかかる修繕費を計算せずに始める人が多いです。
突然の出費が続いてしまうと赤字経営になる可能性もあるので、ある程度修繕費がかかることを計算してプランを立てておくと経営が安定しやすいです。
修繕費が多少かかったとしても、慌てて入居者を集めなくてよくなるため、精神的にも楽に運用できます。
マンション・アパートの修繕やクレームは早期に対応しよう
マンション・アパート経営では、入居者が負担する管理費とオーナーが主に負担する修繕費があります。
特にオーナーが負担する修繕費は、大規模な修繕では多額の費用が掛かるため、定期的に修繕を実施する方が費用負担を軽減することが可能です。
どの程度修繕費が必要になるかを知って、資金計画を立てておくようにしましょう。