地震で潰れやすい階はマンションのどのあたり?揺れに強いマンションと弱いマンションの特徴
アパートとマンション、戸建て住宅などの不動産は、常日頃から火災や水害などの自然災害に見舞われる可能性が高く、場合によっては大切な資産を失う可能性もあります。
中でも危惧すべきは、地震による資産の損失です。
地震大国である日本で生活している以上、地震による不動産の倒壊や損失は十分ありえます。
たとえば、マンションの一画を購入して不動産投資を始めるなら、「どの階層の部屋を選ぶのが安全か?」という疑問を持つ方がいます。
そこで今回は、この疑問を解決すべく、地震で潰れやすい階や災害リスクが高い階層、そして揺れに強いマンョンと弱いマンションの特徴について解説して行きます。
地震で潰れやすい階はマンションの1階部分
結論から申し上げると、マンションやアパートで地震が発生した際、最も潰れやすい階とされるのが1階部分です。
これは、構造的な要因や地震の特性によるもので、住民やオーナーにとって注意が必要なポイントです。
例えば、多階建ての建物は、地震の際に最上階からの重量が1階に集中するため、その影響を最も受けやすいです。
また、1階は土地と直接接触しているため、地震のエネルギーを直接受け取るリスクも高まります。
さらに、1階部分は入口や共有スペースなどの機能を兼ねていることが多く、構造的にも脆弱な箇所が存在することが考えられる。
ここからは、マンションの一階部分が地震で潰れやすいのかについて詳しく解説して行きます。
上からの重みでつぶれる
地震が発生すると、建物全体に大きな振動が生じます。
特に、多階建てのマンションでは上階の重みが1階に集中し、そのプレッシャーが1階部分の耐震性を試すことになります。
具体的には、上階の部屋や家具、住民の動きなどが生み出すダイナミックな荷重が、1階の構造に直接的な影響を及ぼします。
このため、1階部分の構造的強度は非常に重要であり、設計段階での配慮が必要です。
しかし、古いマンションやアパートの場合、当時の建築基準に準拠しているため、現在の基準と比べると耐震性が低く、1階の崩壊リスクが高まります。
地震のエネルギーを直に受けるため
1階部分は地面と直接的に接触しているため、地震のエネルギーを最も直に受ける階となります。
地震の波動は地中を伝わり、建物の基礎を揺らします。
1階はこの基礎部分の上に位置するため、直接的な揺れの影響を受けるリスクが高いです。
また、地震の際に地面が液状化する場合、1階部分が沈み込む危険性もあります。
これらの要因から、1階部分の安全対策や耐震補強は不可欠です。
地震による危険度【階層別】
建物の階層ごとに、地震時の危険度は異なります。
構造的な特性、階層の位置、そして地震の振動の伝わり方によって、それぞれの階層が受ける影響や危険性は大きく変わります。
ここからは、各階層別の地震による危険度について解説します。
1階部分
前節でも触れたように、1階部分は建物の基盤となる部分であり、直接地盤と接触しているため、地震のエネルギーを最も直接受ける階層です。
地震の初動や主要な振動が最初に1階に到達し、上層へと伝わっていきます。
また、上層の重さも1階が支えているため、構造的な負担も大きいです。
そのため、地震の揺れや液状化現象による沈下のリスクが最も高い階層とされています。
1階部分の安全性を確保するためには、適切な耐震設計や地盤補強が不可欠です。
低層階
低層階は、地震の振動を直接に感じる部分であり、特に強い揺れや横揺れの影響を受けやすい位置にあります。
地震の初動が強い場合、低層階にいる住民は大きな揺れを感じることとなり、家具の転倒や窓ガラスの破損などの危険にさらされやすいです。
また、階下からの振動や衝撃も低層階で強く感じられるため、住民は適切な避難行動や安全対策を取ることが求められます。
中層階
中層階は建物の中間に位置するため、地震の振動が低層階や高層階とは異なる特性を持つ場合があります。
具体的には、建物が共振しやすい波長の振動に影響を受けるリスクが高まります。
この共振による振動は、中層階にいる住民にとって非常に危険であり、突然の大きな揺れや横揺れに注意が必要です。
また、中層階は低層階よりも風の影響を受けやすくなるため、台風などの気象条件と地震の同時発生時には特に注意が求められます。
高層階
高層階は建物の最上部に位置するため、地震の振動が上層へと伝わる際の影響を強く受ける層です。
特に、高層ビルやマンションの場合、風による揺れの影響も併せて受けるため、複合的な振動に注意が必要です。
さらに、高層階は地上からの高さがあるため、避難の際にはエレベーターの利用が制限され、階段を使用した避難を要します。
このような点から、高層階に住む住民は地震時の適切な避難方法や安全対策を事前に習得しておきましょう。
高層階になるほど災害リスクが大きくなる理由
高層の建物は都市化が進む中で増えてきており、多くの人々が高層階での生活や勤務を選択しています。
しかし、高層階には災害時のリスクが増大する要因がいくつか存在します。
ここでは、高層階での災害リスクが大きくなる理由について解説して行きます。
遠心力の影響で揺れの時間が長くなる
建物の高さが増すと、地震の揺れや風の影響によって建物全体が振動する際、その振動が大きくなる傾向があります。
特に、建物の高さに応じて発生する遠心力の影響によって、高層階では揺れが低層階に比べて長く続きます。
この遠心力による揺れの延長は、建物の振動が共振しやすい波長で発生した時、顕著に表れます。
その結果、高層階においては、災害時の揺れがより長く、強く感じられる可能性が高まるのです。
地上への行き来がしにくくなる
高層階に住んでいると、地震や火災などの災害時に地上への避難が難しくなります。
特に、電気が停電した場合やエレベーターが故障した場合、階段を使用しての避難が必要となりますが、それが時間を要し、適切な避難行動を取るのが難しくなる場合があります。
また、火災の際には、煙が階段に充満し、避難経路が閉ざされるリスクも考えられます。
このように、高層階の住民や勤務者は、災害時の状況や避難ルートを事前に確認しておくことが重要です。
揺れの影響で家具が倒れたり破損する
高層階では、地震や強風による揺れが強まることで、家具や設備が倒れたり、破損するリスクが増大します。
窓ガラスの割れ、家具の転倒、壁のひび割れなど、多岐にわたる被害が考えられます。
特に、高層階では外部からの風の影響も受けやすく、台風や強風時には窓ガラスが破損するリスクも高まります。
このような被害を防ぐためには、家具や設備の固定、耐震対策の実施、窓ガラスの強化などの対策が不可欠です。
地震の揺れに強いマンションの特徴
地震大国である日本では、安全な住まいを求める声が高まっています。
特に、都市部でマンションを用いた不動産投資や生活を送るとなれば、地震に対する耐震性能が大きな判断基準となります。
ここでは、地震の揺れに強いマンションの特徴について解説します。
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「新耐震基準」に適合していること
1981年以降、日本の建築基準法は「新耐震基準」として見直されました。
この基準は、それまでの基準よりも厳格であり、大きな地震が発生した場合でも倒壊のリスクを大幅に低減させることを目的としています。
新耐震基準に適合しているマンションは、地震の揺れに対して強い耐性を持つと認められています。
したがって、安全性を重視する際には、新耐震基準に準拠した物件の選択が不可欠と言えます。
築42年以内の物件を探す
建物の経年劣化は、耐震性能にも影響を及ぼします。
特に、長い年月が経過すると、建物の材料の老朽化や構造の変化が進行し、地震への対応力が低下する可能性が考えられます。
築42年という数字は、新耐震基準が適用されている2023年現在で最も古いマンションの築年数を指す数字です。
つまり、この数字を下回る物件であればあるほど、新耐震基準で建築されたマンションで、それ以降のマンションは、旧耐震基準で建築されたマンションになります。
しかし、必ずしも築年数だけが耐震性を示すわけではないため、定期的な点検や補修が行われているかどうかも確認することが重要です。
耐震等級が高いマンションを選ぶ
日本の建築物には「耐震等級」という指標が存在し、これはマンションの地震に対する耐久性や安全性を示すものです。
等級は、1から3までの3段階で評価され、3が最も高い耐震性能を持つことを示します。
耐震等級3のマンションは、強い地震が発生した場合でも、建物が崩れるリスクが非常に低いと認められています。
このようなマンションを選択することで、地震時の安全性が大幅に向上するため、選定の際の大きなポイントとなります。
地震の揺れに弱いマンションの特徴
日本は地震の発生が多い国として知られており、そのため住宅を選ぶ際には、耐震性が一つの重要な要因となります。
しかし、全てのマンションが高い耐震性を持っているわけではありません。
ここでは、地震の揺れに弱いとされるマンションの特徴を解説します。
上下階で高さが異なる
一般的に、同じ建物内で上下の階の高さが異なるマンションは、地震の揺れに弱い可能性が高まります。
これは、異なる高さの階が同じ構造的要素で繋がれているため、地震の際に均一でない振動が発生しやすくなるためです。
その結果、特定の階や箇所にストレスが集中し、損傷のリスクが高まる可能性があります。
1階部分に壁がないピロティ構造のマンション
ピロティ構造とは、1階部分に壁がない、柱のみで支えられているマンションのことを指します。
このような構造は、風通しが良く、駐車スペースや共有スペースとしての機能を持つことが多いですが、地震の際にはリスクが伴います。
ピロティ構造のマンションは、1階部分の耐震強度が低く、大きな地震の際に1階部分が崩壊する危険性が増します。
埋立地に建てられたマンション
埋立地とは、海や湖、河川などの水域を埋め立てて作られた土地のことを指します。
このような土地は、地盤が弱く、液状化現象が発生しやすいとされています。
液状化とは、地震の揺れにより、地下の水分を含んだ土が液体のように振る舞い、建物の基礎が沈下する現象を指します。
埋立地に建てられたマンションは、液状化のリスクが高く、大きな地震の際に建物が傾いたり、部分的に沈下する危険性があります。
そのため、安全を重視する場合、埋立地に建てられたマンションの選択は慎重に行う必要があります。
耐震性能に優れたマンションの探し方
地震発生国として知られる日本で、生活したり、不動産投資などを行う際は、耐震性能に優れた住宅を選ぶことが求められます。
特に、都市部のマンション選びでは、地震への耐性が大きな要因となります。
ここでは、耐震性に優れたマンションを探すポイントについて解説します。
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新築・築浅物件を選ぶ
新築や築浅のマンションは、最新の建築基準や技術を取り入れている場合が多いです。
これは、建築物に対する法律や基準が年々見直され、新しい建築物ほどその基準が厳しくなっているためです。
特に、1981年以降に導入された「新耐震基準」で建築されたマンションは、それ以前の物件に比べて耐震性が非常に高いです。
築年数が新しいマンションほど、地震に対するリスクが低減される可能性が高いため、投資対象としても魅力的です。
マンションの1階部分が吹き抜けていない
1階部分が吹き抜けのピロティ構造となっているマンションは、地震発生時の揺れや変形の影響を大きく受ける可能性があると指摘されています。
吹き抜けている部分は、基本的に構造的な強度が低く、地震のエネルギーによって1階部分が崩れるリスクが高まります。
そのため、安全性を第一に考えるのであれば、1階部分に壁があること、もしくは吹き抜けが少ないマンションを選ぶことが望ましいです。
建物がL字やコの字型じゃないこと
L字やコの字型のマンションは、建物の形状が不規則であるため、地震の際の振動や変形が均等に分散されにくいと言われています。
このため、一部の箇所にストレスが集中し、構造的なダメージを受けやすくなる可能性があります。
地震のエネルギーが建物全体に均等に分散される正方形や長方形の形状のマンションは、地震発生時のダメージを最小限に抑えられます。
従って、安全性を考慮するのであれば、このような形状の物件を優先的に選ぶと良いでしょう。
1階から最上階までの高さが均一
1階から最上階までの高さが均一であるマンションは、建物全体のバランスが取れており、地震の際の揺れが均等に分散されます。
逆に不均一な高さのマンションは、地震発生時に不規則な揺れや変形を生じるリスクが高まります。
均一な高さは、建物の構造的な強度と安定性を保ち、地震のエネルギーを効果的に分散させる役割を果たします。
従って、安全性を重視する場合、このような均一な高さを持つマンションを選びましょう。
ハザードマップ上で災害リスクが少ない所に建っているマンション
ハザードマップは、各自治体が公開している災害リスク情報をまとめたマップであり、地震や洪水、土砂崩れなどのリスクが示されています。
このマップを参照することで、物件の位置が災害リスクの高い場所にあるかどうかを確認できます。
高い耐震性能を持つマンションであっても、地盤が弱い場所や津波のリスクが高い場所に建っていると、その安全性は大きく損なわれる可能性があります。
従って、ハザードマップを利用して、災害リスクが低いエリアに位置するマンションを選ぶことが望ましいです。
SRC構造を取り入れたマンション
SRC構造は、鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた建築構造であり、その特長は高い耐震性と耐火性を持っていることです。
例えば、鉄骨が建物の柔軟性を確保し、鉄筋コンクリートが強度と剛性を持ちます。
この組み合わせにより、地震発生時の大きな揺れや変形を効果的に吸収・分散させることが期待されます。
SRC構造のマンションは、その高い耐震性能から多くの人々に信頼されています。
従って、安全性を第一に考える場合、SRC構造を採用しているマンションを選択することがおすすめです。
地震リスクを考慮しながら投資商材になるマンションを選んでいこう
日本は地震発生のリスクが高い国であり、不動産投資を行う際にはそのリスクを考慮した物件選びが不可欠です。
特に、マンションを投資商材として考える場合、耐震性能は賃貸需要や物件の将来的な価値を大きく左右する要素となります。
新築や築浅の物件、均一な高さや形状を持つマンション、SRC構造を採用している建物などは、地震の際の安全性が高いと評価される特徴です。
また、ハザードマップを利用して、災害リスクが低いエリアに位置する物件を選ぶことも重要です。
地震リスクを考慮することは、単に安全性を追求するだけでなく、長期的な投資価値の観点からも必要とされます。
安全であると認識される物件は、賃借人からの需要が高まるため、賃料収入の安定や物件価値の維持・向上が期待できます。
つまり、不動産投資において地震リスクを軽減する要因を持つマンションを選ぶことは、安全性と投資収益の両方を確保する上での鍵となります。