建ぺい率・容積率とは?基本的な内容と計算方法を徹底解説
不動産投資を検討している人の中は、物件広告に記載されている専門用語の意味が分からないケースも多いかと思います。
そんな専門用語の1つに、建ぺい率・容積率というものがあります。建ぺい率と容積率とは、簡単に言えば建物の高さや大きさを制限する指標です。
都市計画法や建築基準法で地域ごとに定められているので、事前に自分が住んでいる地域の基準を確認しておく必要があります。
この記事では建ぺい率と容積率の違いや計算方法について解説してから、注意点について紹介します。
建ぺい率と容積率とは?
建ぺい率とは、建物を真上から見たときの敷地面積に対する建物面積の割合のことを言います。
建物を建てる土地に対して、どの程度の広さで建物を建てられるかを表します。
例えば100㎡の土地に、70㎡の建物面積があれば建ぺい率は70%です。
一方、容積率は敷地面積に対する延べ床面積の割合です。
延べ床面積とは建物すべての階の床面積の合計なので、1階部分が50㎡・2階部分が40㎡であれば合計90㎡となります。
建ぺい率が平面的な広さ、容積率が三次元空間に対する割合と考えればわかりやすいです。
用途地域によって異なる
建ぺい率や容積率は、建築基準法によって上限が定められています。
用途地域という、計画的に市街地を形成するための建築のルールを定めているので、住民が自由に建築できないようになっています。
自由に建物を建ててしまうと、住環境が損なわれてしまうので、用途地域を定めることで都市の環境を保護されています。
用途地域は住宅系・商業系・工業系の3つに分かれ、さらに建築の規制や施設の種類によってさらに細かく分かれます。
例えば第一種住居地域の場合、建ぺい率の上限は60%と設定されています。
各自治体のウェブサイトで建ぺい率と容積率は確認できるので、気になる人は検索してみましょう。
建ぺい率と容積率の計算方法
建ぺい率と容積率の計算方法は、それぞれ以下のようになっています。
- 建ぺい率(%)=建築面積÷敷地面積×100
- 容積率(%)=延べ床面積÷敷地面積×100
建築面積や延べ床面積は、建物を新築する際に提出する「建築確認申告書」で簡単に確認できます。
用途地域で定められた割合以上の建物は立てられないので、これから家を建てる人は確認しておきましょう。
建ぺい率と容積率が緩和されるケース
建ぺい率と容積率は上限が設定されていますが、それぞれ条件を満たした際に緩和されることがあります。
以下にそれぞれの緩和されるケースを解説します。
建ぺい率の緩和
建ぺい率が80%の用途地域で、防災地域内にある耐火建築物は、建ぺい率が無制限(100%)になります。
そのため、上記の場合は建物の規模を気にする必要はありません。
また次の条件に当てはまると、建ぺい率は1つにつき10%ずつプラスされます。
- 防火地域内で耐火建築物、あるいは準防火地域内で準耐火建築物の場合
- 特定行政庁の指定する一定要件を満たす角地の場合
角地の定義は自治体によっても異なるため、建ぺい率緩和の要件を満たすかどうかは担当地域の窓口に相談しましょう。
容積率の緩和
容積率が緩和されるケースとしては、次のような要件が挙げられます。
- 地下室:面積が建物全体の3分の1以下なら計算から除外
- 駐車場:面積が建物全体の5分の1以下なら計算から除外
- 屋根裏収納:収納がある階の床面積の2分の1以下なら計算から除外
敷地内に上記のエリアを作る場合、容積率の計算から除外できるように建物の敷地を考えて建築すると広く土地を使えます。
上記のエリアのほかには、バルコニーやベランダなど建物の外壁から出た部分が1m以内のものも計算から除外できます。
さらに吹き抜けなどの構造を利用すると、容積率も抑えて広く土地を使えるのでおすすめです。
建ぺい率と容積率に関する注意点
建ぺい率と容積率は上限が決められていますが、そのほかにも注意するべきことが以下のようにあります。
- 建築制限は建ぺい率と容積率以外にもある
- 建ぺい率・容積率をオーバーすると住宅ローンを組めない
- 建ぺい率と容積率によって建てられる住宅に違いがある
家を建築すると、建ぺい率や容積率に注意が向きがちですが、そのほかの要素も確認して建築することを心がけましょう。
以下にそれぞれの注意点を解説します。
建築制限は建ぺい率と容積率以外もある
建築できる建物の大きさや高さの規定は、建ぺい率と容積率以外にも制限があります。
例えば斜線制限という道路・隣地・北側による高さの制限や、日影規制という日照を保護するための高さの規定があります。
また自治体によって高度地区を定めている地域もあるので、これらの制限と合わせて建築可能な建物の大きさが決定されます。
そのため建ぺい率と容積率に余裕があっても、最大限利用できないこともあります。
ただし、反対に一定規模以上の敷地で空地を確保している場合は建築制限に大幅な緩和措置があるので地域によっては大きな建物を建てることも可能です。
建ぺい率・容積率をオーバーすると住宅ローンが組めない
建ぺい率や容積率をオーバーして建築してしまうと違法建築物となるため、銀行で融資や住宅ローンを組めなくなってしまいます。
違法建築は市場価値がないため、担保として認めてもらえません。
不動産会社と建築段階で確認はするはずですが、万が一の間違いがないように確認しておきましょう。
建ぺい率と容積率によって建てられる住宅に違いがある
建ぺい率と容積率によって、建てられる住宅には違いが出ます。
建ぺい率の上限は用途地域との組み合わせによって30%~80%と定められ、容積率の上限は50%~1300%の間で定められます。
しかし、例えば全面の道路の幅が12m未満の場合は道路幅×0.4or0.6で求めた値と、容積率のうち小さいほうの数値が適用されるなどの縛りがあります。
また「建ぺい率50%・容積率100%」の敷地制限は低層住宅地に多いですが、この制限では2階建ての住宅までしか建てられません。
階数を増やしたい場合は容積率が高くないと建てられないので、建築前に土地の情報を確認しておく必要があります。
建てたい住宅が建てられないこともあるので気をつけましょう。
物件選びでは建ぺい率・容積率もチェックしてみる
建ぺい率は建物を真上から見たときの敷地面積に対する建物面積の割合、容積率は敷地面積に対する延べ床面積の割合を指します。
建ぺい率と容積率によって建てられる建物の規模が変わってくる特徴があるので、家をこれから建築する予定の人は用途地域を確認しておきましょう。
それぞれの値をオーバーしてしまうと住宅ローンが借りれないなどの問題が発生する可能性もあるので気を付けてください。